とりとめもなくメモ(公務員試験向け

各種試験の本には参照条文がないものがあるけど・・・

憲法(人権部分)(公務員試験向けメモ)(作成中)

     
第3章 国民の権利及び義務
   
10 日本国民の要件〕 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
  外国人の人権  
 
外国人の人権に関する次の文章のうち、最高裁判所判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。
 
 
1. 国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反するが、
この自由の保障はわが国に在留する外国人にまで及ぶものではない。
 
    →×。最判平成7年12月15日は、「国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されず、また、右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ」と判示
 
2. わが国に在留する外国人は、憲法上、外国に一時旅行する自由を保障されているものではない。
 
    →〇。最判平成4年11月16日は、「我が国に在留する外国人は、憲法上、外国へ一時旅行する自由を保障されているものでない」と判示
 
3. 政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが
相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。
 
    →〇。最大判昭和53年10月4日は、「政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ」と判示
 
4. 国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することは
わが国の法体系の想定するところではない。
 
    →〇。大判平成17年1月26日は、「外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない」と判示→〇。
 
5. 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断
によってこれを決定することができる。
 
    →〇。最判平成元年3月2日は、「社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、…その政治的判断によりこれを決定することができる」と判示
     
11 基本的人権の享有と本質〕 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
12 自由・権利の保持義務、濫用の禁止、利用の責任〕 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
13 個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
     
     
14 法の下の平等、貴族制度の否認、栄典の限界〕 ①すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
    華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
    ③栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
  法の下の平等  
     
     
     
     
     
     
     
     
     
  私人間効力  
 
私法上の法律関係における憲法の効力に関する次の記述のうち、最高裁判所判例に照らし、正しいものはどれか。
 
 
私人間においては、一方が他方より優越的地位にある場合には私法の一般規定を通じ憲法の効力を直接及ぼすことができるが、
それ以外の場合は、私的自治の原則によって問題の解決が図られるべきである。
 
    →×。判例三菱樹脂事件 日産自動車事件など)は、憲法基本的人権の保障規定について、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係に当然に適用されるものではないとし、公序良俗違反(民法1条、90条)など私法の解釈・適用を通して、間接的に憲法の趣旨を考慮するとしている(間接適用説)。
 
企業者が、労働者の思想信条を理由に雇い入れを拒むことは、思想信条の自由の重要性に鑑み許されないが、いったん雇い入れた後は、
思想信条を理由に不利益な取り扱いがなされてもこれを当然に違法とすることはできない。
 
     
 
私立学校は、建学の精神に基づく独自の教育方針を立て、学則を制定することができるが、学生の政治活動を
理由に退学処分を行うことは憲法19条に反し許されない。
 
    →×。最判昭和49年7月19日は、憲法は「私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものでない」として、前掲三菱樹脂事件判例を踏襲した。また、政治活動するにあたって事前の届出義務を課す学則は「学生の政治的活動の自由に対する不合理な規制ということはできない。」とした上で、「退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり、その処分は、学長の裁量権の範囲内にある」とした。
 
性別による差別を禁止する憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶことになるので、男女間で定年に差異を設けることについて経営上の合理性が
認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。
 
    →×。男女の定年について差を設けていたことが問題となった日産自動車事件では、結論として無効としているが、従来の間接適用説を踏襲して、民法90条により無効としており、「憲法14条1項の効力は労働関係に直接及ぶ」とはいえない。
また、当該判例では、当該差別について企業経営上の観点から合理的理由は認められないとして、無効にしているため、「経営上の合理性が認められるとしても、女性を不利益に扱うことは許されない。」とはいえない。
    男女の定年年齢に差を設ける就業規則は,性別のみによる不合理な差別を定めたものとして,憲法14条1項の規定の趣旨を参酌し,民法90条により無効と解すべきである
     
  衆議院議員の定数不均衡  
  衆議院議員の定数不均衡により違憲となった場合には、当該選挙は違法であり、無効となる。 ×。判例は、事情判決の法理に従い、選挙が違法である旨を判示するにとどめ、選挙自体はこれを無効としないこととするとしている。(最大判昭和51年4月14日)
  投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となるが、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間を経過していなければ、事情判決の法理により選挙を有効とすることも許される。 →×。
判例は、「人口の異動は不断に生じ、したがって選挙区における人口数と議員定数との比率も絶えず変動するのに対し、選挙区割と議員定数の配分を頻繁に変更することは、必ずしも実際的ではなく、また、相当でもないことを考えると、右事情によって具体的な比率の偏差が選挙権の平等の要求に反する程度となったとしても、これによって直ちに当該議員定数配分規定を憲法違反とすべきものではなく、人口の変動の状態をも考慮して合理的期間内における是正が憲法上要求されていると考えられるのにそれが行われない場合に始めて憲法違反と断ぜられる(最大判昭和51年4月14日)。」としている。
したがって、本肢は、投票価値の不平等が国会の合理的裁量の範囲を超えるという事情のみで選挙が違憲・違法となるとしている点で誤っている。また、合理的期間内には事情判決の法理を使用する必要はないのであるから(違憲・無効ではない)、その点についても誤っている。
  衆議院議員の定数が不均衡な状態であっても、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間であれば、違憲にならないことがある。 →〇。(最判昭和58・11・7)
     
15 公務員の選定罷免権、公務員の性質、普通選挙・秘密投票の保障〕 ①公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
    ②すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
    ③公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
    ④すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
     
17 国および公共団体の賠償責任〕 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
18 奴隷的拘束および苦役からの自由〕 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
19 思想および良心の自由〕 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
     
20 信教の自由、国の宗教活動の禁止〕 ①信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
    ②何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
    ③国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
     
     
21 集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密〕 ①集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
    ②検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
     
     
23 学問の自由〕 学問の自由は、これを保障する。
     
24 家族生活における個人の尊厳と両性の平等〕 ①婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
    ②配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
25 生存権、国の生存権保障義務〕 ①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない
     
     
     
     
     
     
30 納税の義務 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
     
31 31法定手続の保障 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
     
32 32裁判を受ける権利 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
33 33逮捕に対する保障 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
34 34抑留・拘禁に対する保障 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
35 35住居侵入・捜索・押収に対する保障 ①何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
    ②捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
36 36拷問および残虐な刑罰の禁止 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
37 37刑事被告人の諸権利 ①すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
    ②刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
    ③刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
38 38不利益な供述の強要禁止、自白の証拠能力 ①何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
    ②強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
    ③何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
39 39刑罰法規の不遡及、二重処罰の禁止 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
    □再審において,無罪判決を有罪にしたり,有罪とされた行為をより重く処罰すること(不利益な再審)は39条に反する
     
    32条にいう「逮捕」とは,犯罪の嫌疑を理由として身体を拘束すること一般を指し,刑訴法でいうところの「逮捕」に限られず, 「勾引」「勾留」「鑑定留置」なども全て含まれる。
    □34条の拘留された者の弁護人依頼権は,国が弁護人をつける義務まで負うことを定めたものではない。
    □共犯者の自白は,38条Ⅲにいう「本人の自白」に含まれないので,共犯者の自白のみで有罪にできる(判例)。
     
40 40 刑事補償 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
    □ある者が犯罪の嫌疑を受けて逮捕こう留され,公訴を提起されたが,公訴提起の手続が違法であるとして公訴棄却の判決を受けた場合,この者に対する抑留拘禁についての補償を受ける権利は憲法によって保障されている。
    →×。40条に関する問題。解説をみる方が,写すより良いと思ったので,解説参照。
    □ある者が犯罪の嫌疑を受けて逮捕こう留され,公訴を提起されたが,その犯罪につき大赦が行われ,免訴の判決を受けた場合,この者に対する抑留拘禁についての補償を受ける権利は憲法によって保障されている。
    →×。40条に関する問題。解説をみる方が,写すより良いと思ったので,解説参照。
     
     
     
     
    内閣総理大臣の任免は,天皇が行う。→×;天皇が行うのは「任命」のみ(6Ⅰ)。
    天皇の国事行為については,内閣は天皇に対して責任を負う。→3条の内閣の責任は国会に対するものである。
    □大日本国憲法に定められた人権規定はすべて法律の留保を伴っていた。→×;大日本国憲法第27,28条等

 

 

憲法(統治部分)(公務員試験向けメモ)(作成中)

第4章 国会    
第41条〔国会の地位、立法権 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。  
     
第43条〔両議院の組織〕 ①両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。  
  ②両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。  
第44条〔議員および選挙人の資格〕 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。  
     
第45条〔衆議院議員の任期〕 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。  
     
第46条〔参議院議員の任期〕 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。  
     
第47条〔選挙に関する事項の法定〕 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。  
     
第48条〔両議院議員兼職禁止〕 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。  
  衆議院の議員が,同時に参議院の議員になることはできない。 →○;「何人も,同時に両議員の議員たることはできない」(48)。認めると,二院制が無意味になるから。
     
第49条〔議員の歳費〕 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。  
第50条〔議員の不逮捕特権 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。  
第51条〔議員の発言・表決の無責任〕 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない  
  国会議員の免責特権に関して
□両議院は,各々その所属する議員の資格に関する争訟を裁判する権能を有しており,議院の議決により資格を有しないとされた議員から,更に裁判所に救済を求めることはできない。
→正しい。55条。
  □国会議員が院内で行った発言を理由として,議院が,その議員を懲罰に付することは可能であるが,懲罰として除名処分を行うことは国会議員の免責特権を定めた憲法51条の規定に抵触し許されない。 →○ 58Ⅱみよ。
  □議員が院内で行った言論を院外で公表したときは,免責特権は認められず,一般の法律によって律せられる。 →議員の自由な活動と無関係であり,免責を認める必要がない。
     
第52条〔常会〕 国会の常会は、毎年一回これを召集する。  
第53条〔臨時会〕 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。  
     
第54条〔衆議院の解散、特別会、参議院の緊急集会〕 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。  
  衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。  
  ③前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。  
  衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたときには特別会が召集される。 →×:臨時会である。
  衆議院及び参議院のうち,いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば,内閣は,国会の召集を決定しなければならない。 →○;内閣は,国会の臨時会の召集を決定することができる(53前段)。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば,内閣は,その召集を決定しなければならない(53後段)。
  衆議院が解散されたときは,解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い,その選挙の日から30日以内に国会を召集しなければならない。 →○;54Ⅰ
  参議院は,国に緊急の必要があるときは,緊急集会の召集を求めることができる。 →×;参議院の緊急集会とは,衆議院が解散されて総選挙が施行され,特別会(54Ⅰ)が召集されるまでの間に,国会の開会を要する緊急の事態が生じたとき,それにこたえて国会を代行する制度をいう(同ⅡⅢ)。そして,緊急集会を求める権能は内閣のみが有し(54Ⅱ但書),参議院はこの権能を有しない。
     
     
     
     
     
     
第55条〔議員の資格争訟〕 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。  
第56条〔定足数・表決〕 ①両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。  
  ②両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。  
     
第57条〔会議の公開、秘密会〕 ①両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。  
  ②両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。  
  ③出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。  
  □両議院が秘密会の記録を公開しないことは違憲である。 →×:57条2項の反対解釈。
第58条〔役員の選任、議院規則、懲罰〕 ①両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。  
  ②両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。  
第59条 ①法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
衆議院で可決し,参議院でこれと異なつた議決をした法律案は,衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは,法律となる。
③前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
 
     
第60条 ①予算は,さきに衆議院に提出しなければならない。
②予算について,参議院衆議院と異なつた議決をした場合に,法律の定めるところにより,両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき,又は参議院が,衆議院の可決した予算を受け取つた後,国会休会中の期間を除いて30日以内に,議決しないときは,衆議院の議決を国会の議決とする。
 
     
憲法の定めによると、両院協議会を必ずしも開かなくてもよいとされている場合は、次のうちどれか。

衆議院が先議した予算について参議院が異なった議決を行った場合
内閣総理大臣の指名について衆参両院が異なった議決を行った場合
衆議院で可決された法律案を参議院が否決した場合
衆議院が承認した条約を参議院が承認しない場合
参議院が承認した条約を衆議院が承認しない場合
   
     
     
第61条 条約の締結に必要な国会の承認については,前条第2項の規定を準用する。  
     
第62条〔議院の国政調査権 両議院は、各□国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。  
  国政調査のために,家宅捜索,物品の押収等の手段を用いることは許される。
→×;人権保障の見地からの制約がある。すなわち,62条が認めている国政調査のための方法は,証人の出頭及び証言並びに記録の提出の要求のみであり,捜索,押収,逮捕といった強制処分は認められない。
 
  国政調査のための証人として出頭を求められた者が,正当な理由なく出頭しなかった場合には,刑罰を科することができる。
→○:議院証言法7条1項。
 
次のア~オのうち、議院の権能として正しいものはいくつあるか。

ア.会期の決定
イ.議員の資格争訟
ウ.裁判官の弾劾
エ.議院規則の制定
オ.国政に関する調査
ア.国会の権能。
常会の会期は、原則として150日間であるが(国会法10条)、臨時会及び特別会の会期並びに会期の延長は、両議院一致の議決で定めることになっている(国会法11条、12条)。
なお、当該議決には、国会法上の衆議院の優越が認められており、議決の不一致又は参議院が議決しないときは、衆議院の議決が優先される(国会法13条)。

イ.議院の権能。
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。ただし、議員の議席を失はせるには、出席議員の2/3以上の多数による議決を必要とする(憲法55条)。

ウ.国会の権能。
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける(憲法64条1項)。
なお、本肢は、問題構成の便宜上「国会の権能」としているが、当該規定による権能は「弾劾裁判所の設置権」であるため、「裁判官の弾劾」とした場合、正確には弾劾裁判所の権能に属していることになる。

エ.議院の権能。
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の2/3以上の多数による議決を必要とする(憲法58条2項)。

オ.議院の権能。
両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる(憲法62条)。
なお、国政調査権の法的性質について、判例・通説は、国会が有する権能(特に立法権)を補助するための手段として、各議院に国政調査権が与えられたと考える(補助的権能説)。
 
     
     
  憲法第54条第2項本文は,「衆議院 」と規定しているが,この同時活動の原則の例外として,憲法上は参議院の緊急集会(憲法54条第2項但書)が,法律上は合同審査会制度(国会法第44条)が規定されている。  
  →×。  
     
  □国会の議決事項において衆参両議院が異なった議決をなした場合には,それぞれの場合についての要件は異なるが,常に衆議院参議院に優越する。→×;衆議院の優越が明示されていない場合(8,87Ⅱ),両議院は対等となる。  
  □議員は,内閣総理大臣その他国務大臣以外の行政府の職員を兼ねることはできない。→○;権力分立制に反するからである。  
     
第63条〔国務大臣の議院出席〕 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。  
  内閣総理大臣その他の国務大臣は,いつでも議案について発言するため議院に出席することができる。 →○;63前段のとおり。
第64条〔弾劾裁判所 ①国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。  
  ②弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。  
     
内閣    
第65条〔行政権と内閣〕    
行政権は、内閣に属する。    
     
1. 内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。 1.✖  
2. 憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。 2.✖  
3. 内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。 3.✖  
4. 法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣連署することを必要とする。 4.〇  
5. 内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。 5.✖  
     
第66条〔内閣の組織〕 「①内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」  
  合議体である。(芦部)国務大臣の数は、20人以内とされている(国会法2条)。  
  「②内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」  
  文民」とは、  
  ①現在職業軍人でない者、  
  ②これまで職業軍人であったことがない者、  
  ③現在職業軍人でない者と、これまで職業軍人であったことがない者  
  という3つの説がある。言葉本来の意味は①が正しいが、そう解すると戦前の職業軍人文民ということになるので、憲法9条が軍隊の保持を禁止している趣旨を徹底させる意味から、その後、②説が多数説になった。  
  国務大臣の一部に文民でない者を宛てることは,内閣の一体性に反し違憲である。 →×:文民条項(66Ⅱ)は平和主義に基づくものであり,内閣の一体性とは関係ない。
     
第67条〔内閣総理大臣の指名、衆議院の優越〕 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。  
  内閣総理大臣は、衆議院議席を有する者でなければならない。 ←×。参議院議席を有する者であってもかまわない。(67Ⅰ)
  内閣総理大臣の指名は、他のすべての案件に先だつて、行われる。 ←〇。(67Ⅰ)
  衆議院参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。  
  □裁判所は,衆議院及び参議院の議員の資格に関する争訟の裁判をすることができる。 →×;できない。議員の資格争訟の裁判権(55)は,議院の自律的な審査に委ねる趣旨だからである。
  内閣総理大臣の指名について,衆議院参議院と異なった議決をした場合には,直ちに参議院の議決が国会の議決となる。 →×;両院協議会を開くことを要し,それでも意見が一致しないときに初めて,衆議院の議決が国会の議決となる(67Ⅱ)。直ち に衆議院の議決が国会の議決となるわけではない。
  内閣総理大臣の指名については,参議院よりも先に衆議院で議決しなければならない。 →×;予算の場合(60Ⅰ)のように衆議院に先議権はなく,先に衆議院で議決しなければならないわけではない。内閣総理大臣の 指名は,両院どちらが先に指名してもよい。
  □法律案について,衆議院参議院がとが異なった議決をした場合には,両院協議会を開かなければならない。 →×;衆議院両院協議会を開催することができる(59Ⅲ)が,その開催は任意的であり,衆議院は,両院協議会の開催を求めずに,出席議員の3分の2以上の多数の再可決により,法律を成立させることもできる(同Ⅱ)。
  □国会の議決事項において衆参両議院が異なった議決をなした場合には,それぞれの場合についての要件は異なるが,常に衆議院参議院に優越する。 →×:衆議院の優越が明示されていない場合(8条,87条2項),両議院は対等となる。
  □議員は,内閣総理大臣その他の国務大臣以外の行政府の職員を兼ねることはできない。 →○:権力分立制に反するからである。
第68条〔国務大臣の任免〕 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。  
  内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。  
  国務大臣過半数は,衆議院議員でなければならない。
→×;国会議員(68Ⅰ但書)。
 
  国務大臣過半数参議院議員が占める内閣は違憲である。
→×:68Ⅰ
 
  内閣総理大臣は,任意に国務大臣を罷免することができる。 →○;68Ⅱのとおり。
  内閣総理大臣閣議にかけなければ国務大臣を罷免できない。 →×:68Ⅱ
  内閣総理大臣は,国務大臣を罷免する場合は、閣議にかけて決定することを要しない。 →〇:国務大臣の任免は、内閣総理大臣の専権に属する(68Ⅱ)
     
第69条〔衆議院の内閣不信任〕 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。  
     
     
第70条〔内閣総理大臣の欠缺または総選挙後の総辞職〕 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。  
     
     
第71条〔総辞職後の内閣の職務〕 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。  
     
     
第72条〔内閣総理大臣の職務〕 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。  
     
     
第73条〔内閣の事務〕 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。  
  一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。  
  二 外交関係を処理すること。  
  三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。  
  四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。  
  五 予算を作成して国会に提出すること。  
  六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。  
  大赦、特赦、減刑刑の執行の免除及び復権を決定すること。  
  □内閣には法律を誠実に執行する義務があることからすると,内閣は法律の内容を違憲と判断しても,その法律の執行を拒否することができない。 →○;内閣は法律を誠実に執行するものとされている(73①)。
  □内閣は行政作用のみを行うわけではない。 →○:73条6号(政令の制定など)。
  □内閣は,すべての条約の締結について,国会の承認を得なければならないというわけではない。 →○:私法上の契約の性質を持つもの,既存の条約を執行するための細部の取り決めなどは国会の承認を必要とする「条約」に あたらない。
第74条〔法律・政令の署名・連署 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣連署することを必要とする。  
     
     
第75条〔国務大臣の訴追〕 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。  
     

 

労働法  (作成中)

・アルバイトについて 労基法39条 6か月以上勤務した場合、週の労働日数に比例した有給休暇があるか

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平成27年 改正派遣法成立

・残業上限について

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民法(相続法除く)(作成中)

 

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読者さん、コメントありがとうございます! (全く意味不明なブログというか、ほんと単なるメモですが・・・・すみません。)

 

 

 

 

民法 相続法(作成中)

887条

  • 相続人の子は、相続人となる。
  • 相続人の子が、相続の開始以前(同時も含む)に死亡したとき、又は891条の規定に該当し、若しくは廃除によつて、その相続権を失つたときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。但し、被相続人直系卑属でない者は、この限りでない。

③前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によつて、その代襲相続権を失つた場合にこれを準用する。〔昭37改正〕

889条

①左に掲げる者は、第887条の規定によつて相続人となるべき者がない場合には、左の順位に従つて相続人となる。

第一 直系尊属。但し、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

第二 兄弟姉妹

②第887条第2項の規定は、前項第二号の場合にこれを準用する。〔昭55改正〕

(:本条2項によると,887条2項だけが準用され,同条3項が準用されない結果,兄弟姉妹の再代襲は1回だけとなる。昭和55年改正によって改められた結果である。

900

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、左の規定に従う。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。

二 ~

行政法(行政事件訴訟法中心)(作成中)

第一章 総則(この法律の趣旨)
 
第1条 行政事件訴訟については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
   
第2条(行政事件訴訟)
 
  この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。
   
第3条(抗告訴訟
 
  1 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
  2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
  3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
  4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
  5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
  6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
  一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
  二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
  7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
   
第4条(当事者訴訟)
 
  この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
   
第5条(民衆訴訟)
 
  この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
   
第6条(機関訴訟)
 
  この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。
   
第7条(この法律に定めがない事項)
 
  行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。
   
第二章 抗告訴訟
 
第一節 取消訴訟
 
第8条(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
 
  1 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
  2 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。
  一 審査請求があつた日から3箇月を経過しても裁決がないとき。
  二 処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
  3 その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
  3 第1項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から3箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
   
   
第9条(原告適格
 
  1 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
  2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
   
第10条(取消しの理由の制限)
 
  取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
  2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
   
第11条(被告適格等)
 
  処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
  一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
  二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
  2 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
  3 前2項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
  4 第1項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。
  一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁
  二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁
  5 第1項又は第3項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。
  6 処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第1項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
   
第12条(管轄)
 
  取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
  2 土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。
  取消訴訟は、当該処分又は裁決に関し事案の処理に当たつた下級行政機関の所在地の裁判所にも、提起することができる。
  4 国又は独立行政法人通則法(平成11年法律第百3号)第2条第1項に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。
  5 前項の規定により特定管轄裁判所に同項の取消訴訟が提起された場合であつて、他の裁判所に事実上及び法律上同一の原因に基づいてされた処分又は裁決に係る抗告訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は第1項から第3項までに定める裁判所に移送することができる。
   
第13条(関連請求に係る訴訟の移送)
 
  取消訴訟と次の各号の一に該当する請求(以下「関連請求」という。)に係る訴訟とが各別の裁判所に係属する場合において、相当と認めるときは、関連請求に係る訴訟の係属する裁判所は、申立てにより又は職権で、その訴訟を取消訴訟の係属する裁判所に移送することができる。ただし、取消訴訟又は関連請求に係る訴訟の係属する裁判所が高等裁判所であるときは、この限りでない。
  一 当該処分又は裁決に関連する原状回復又は損害賠償の請求
  二 当該処分とともに一個の手続を構成する他の処分の取消しの請求
  三 当該処分に係る裁決の取消しの請求
  四 当該裁決に係る処分の取消しの請求
  五 当該処分又は裁決の取消しを求める他の請求
  六 その他当該処分又は裁決の取消しの請求と関連する請求
   
第14条(出訴期間)
 
  1 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
  取消訴訟は、処分又は裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
  3 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前2項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したとき又は当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
 問題 取消訴訟は、正当な理由があるときを除いて、処分又は裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したときは、提起することができない。→〇(法14条1項)
   
第15条(被告を誤つた訴えの救済)
 
  取消訴訟において、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤つたときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもつて、被告を変更することを許すことができる。
  2 前項の決定は、書面でするものとし、その正本を新たな被告に送達しなければならない。
  3 第1項の決定があつたときは、出訴期間の遵守については、新たな被告に対する訴えは、最初に訴えを提起した時に提起されたものとみなす。
  4 第1項の決定があつたときは、従前の被告に対しては、訴えの取下げがあつたものとみなす。
  5 第1項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。
  6 第1項の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  7 上訴審において第1項の決定をしたときは、裁判所は、その訴訟を管轄裁判所に移送しなければならない。
   
第16条(請求の客観的併合)
 
  取消訴訟には、関連請求に係る訴えを併合することができる。
  2 前項の規定により訴えを併合する場合において、取消訴訟の第一審裁判所が高等裁判所であるときは、関連請求に係る訴えの被告の同意を得なければならない。被告が異議を述べないで、本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、同意したものとみなす。
第17条(共同訴訟)
 
  数人は、その数人の請求又はその数人に対する請求が処分又は裁決の取消しの請求と関連請求とである場合に限り、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。
  2 前項の場合には、前条第2項の規定を準用する。
   
第18条(第三者による請求の追加的併合)
 
  三者は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、その訴訟の当事者の一方を被告として、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟高等裁判所に係属しているときは、第16条第2項の規定を準用する。
   
第19条(原告による請求の追加的併合)
 
  原告は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟高等裁判所に係属しているときは、第16条第2項の規定を準用する。
  2 前項の規定は、取消訴訟について民事訴訟法(平成8年法律第百9号)第百43条の規定の例によることを妨げない。
第20条  
  前条第1項前段の規定により、処分の取消しの訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して提起する場合には、同項後段において準用する第16条第2項の規定にかかわらず、処分の取消しの訴えの被告の同意を得ることを要せず、また、その提起があつたときは、出訴期間の遵守については、処分の取消しの訴えは、裁決の取消しの訴えを提起した時に提起されたものとみなす。
   
第21条(国又は公共団体に対する請求への訴えの変更)
 
  1 裁判所は、取消訴訟の目的たる請求を当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償その他の請求に変更することが相当であると認めるときは、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、原告の申立てにより、決定をもつて、訴えの変更を許すことができる。
  2 前項の決定には、第15条第2項の規定を準用する。
  3 裁判所は、第1項の規定により訴えの変更を許す決定をするには、あらかじめ、当事者及び損害賠償その他の請求に係る訴えの被告の意見をきかなければならない。
  4 訴えの変更を許す決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  5 訴えの変更を許さない決定に対しては、不服を申し立てることができない。
オ 問題 裁判所は、取消訴訟の目的たる請求を当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償その他の請求に変更することが相当であると認めるときは、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、原告の申立てにより、決定をもつて、訴えの変更を許すことができる。→〇(21条1項)
   
第22条(第三者の訴訟参加)
 
  1 裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その第三者を訴訟に参加させることができる。
  2 裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び第三者の意見をきかなければならない。
  3 第1項の申立てをした第三者は、その申立てを却下する決定に対して即時抗告をすることができる。
  4 第1項の規定により訴訟に参加した第三者については、民事訴訟法第40条第1項から第3項までの規定を準用する。
  5 第1項の規定により第三者が参加の申立てをした場合には、民事訴訟法第45条第3項及び第4項の規定を準用する。
問題 裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その第三者を訴訟に参加させることができる。→〇(法22条1項)
   
第23条(行政庁の訴訟参加)
 
  裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その行政庁を訴訟に参加させることができる。
  2 裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び当該行政庁の意見をきかなければならない。
  3 第1項の規定により訴訟に参加した行政庁については、民事訴訟法第45条第1項及び第2項の規定を準用する。
   
第23条の2(釈明処分の特則)
 
  裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、必要があると認めるときは、次に掲げる処分をすることができる。
  一 被告である国若しくは公共団体に所属する行政庁又は被告である行政庁に対し、処分又は裁決の内容、処分又は裁決の根拠となる法令の条項、処分又は裁決の原因となる事実その他処分又は裁決の理由を明らかにする資料(次項に規定する審査請求に係る事件の記録を除く。)であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の提出を求めること。
  二 前号に規定する行政庁以外の行政庁に対し、同号に規定する資料であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の送付を嘱託すること。
  2 裁判所は、処分についての審査請求に対する裁決を経た後に取消訴訟の提起があつたときは、次に掲げる処分をすることができる。
  一 被告である国若しくは公共団体に所属する行政庁又は被告である行政庁に対し、当該審査請求に係る事件の記録であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の提出を求めること。
  二 前号に規定する行政庁以外の行政庁に対し、同号に規定する事件の記録であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の送付を嘱託すること。
   
第24条(職権証拠調べ)
 
  裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。
   
第25条(執行停止)
 
  1 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
  2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
  3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
  4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
  5 第2項の決定は、疎明に基づいてする。
  6 第2項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
  7 第2項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  8 第2項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。
   
第26条(事情変更による執行停止の取消し)
 
  執行停止の決定が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもつて、執行停止の決定を取り消すことができる。
  2 前項の申立てに対する決定及びこれに対する不服については、前条第5項から第8項までの規定を準用する。
   
   
第27条(内閣総理大臣の異議)
 
  1 第25条第2項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。
  2 前項の異議には、理由を附さなければならない。
  3 前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。
  4 第1項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。
  5 第1項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。
  内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第1項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。
   
第28条(執行停止等の管轄裁判所)
 
  執行停止又はその決定の取消しの申立ての管轄裁判所は、本案の係属する裁判所とする。
   
第29条(執行停止に関する規定の準用)
 
  前4条の規定は、裁決の取消しの訴えの提起があつた場合における執行停止に関する事項について準用する。
   
第30条(裁量処分の取消し)
 
  行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。
   
第31条(特別の事情による請求の棄却)
 
  取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
  2 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
  3 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。
   
第32条(取消判決等の効力)
 
  1 処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。
  2 前項の規定は、執行停止の決定又はこれを取り消す決定に準用する。
第33条 処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
  2 申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。
  3 前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。
  4 第1項の規定は、執行停止の決定に準用する。
   
   
第34条(第三者の再審の訴え)
 
  処分又は裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかつたため判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかつたものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもつて、不服の申立てをすることができる。
  2 前項の訴えは、確定判決を知つた日から30日以内に提起しなければならない。
  3 前項の期間は、不変期間とする。
  4 第1項の訴えは、判決が確定した日から1年を経過したときは、提起することができない。
   
第35条(訴訟費用の裁判の効力)
 
  国又は公共団体に所属する行政庁が当事者又は参加人である訴訟における確定した訴訟費用の裁判は、当該行政庁が所属する国又は公共団体に対し、又はそれらの者のために、効力を有する。
第二節 その他の抗告訴訟
 
第36条(無効等確認の訴えの原告適格
 
  無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
   
第37条(不作為の違法確認の訴えの原告適格
 
  不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。
   
第37条の2(義務付けの訴えの要件等)
 
  第3条第6項第1号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
  2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
  3 第1項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
  4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第9条第2項の規定を準用する。
  5 義務付けの訴えが第1項及び第3項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。
   
第37条の3 第3条第6項第2号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
  一 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
  二 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
  2 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
  3 第1項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第38条第1項において準用する第12条の規定にかかわらず、その定めに従う。
  一 第1項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
  二 第1項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
  4 前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
  5 義務付けの訴えが第1項から第3項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
  6 第4項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第3項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。
  7 第1項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。
   
第37条の4 (差止めの訴えの要件)
 
  1 差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
  2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。
  3 差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
  4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第9条第2項の規定を準用する。
  5 差止めの訴えが第1項及び第3項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。
   
第37条の5(仮の義務付け及び仮の差止め)
 
  1 義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
  2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
  3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
  4 第25条第5項から第8項まで、第26条から第28条まで及び第33条第1項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。
  5 前項において準用する第25条第7項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第26条第1項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。
   
第38条(取消訴訟に関する規定の準用)
 
  1 第11条から第13条まで、第16条から第19条まで、第21条から第23条まで、第24条、第33条及び第35条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。
  2 第10条第2項の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第2条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。
  3 第23条の2、第25条から第29条まで及び第32条第2項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。
  4 第8条及び第10条第2項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。
   
第三章 当事者訴訟
 
第39条(出訴の通知)
 
  当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で、法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものが提起されたときは、裁判所は、当該処分又は裁決をした行政庁にその旨を通知するものとする。
   
第40条(出訴期間の定めがある当事者訴訟)
 
  1 法令に出訴期間の定めがある当事者訴訟は、その法令に別段の定めがある場合を除き、正当な理由があるときは、その期間を経過した後であつても、これを提起することができる。
  2 第15条の規定は、法令に出訴期間の定めがある当事者訴訟について準用する。
   
第41条(抗告訴訟に関する規定の準用)
 
  1 第23条、第24条、第33条第1項及び第35条の規定は当事者訴訟について、第23条の2の規定は当事者訴訟における処分又は裁決の理由を明らかにする資料の提出について準用する。
  2 第13条の規定は、当事者訴訟とその目的たる請求と関連請求の関係にある請求に係る訴訟とが各別の裁判所に係属する場合における移送に、第16条から第19条までの規定は、これらの訴えの併合について準用する。
   
   
第4章 民衆訴訟及び機関訴訟
 
第42条(訴えの提起)
 
  民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。
第43条 抗告訴訟又は当事者訴訟に関する規定の準用)
  民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、第9条及び第10条第1項の規定を除き、取消訴訟に関する規定を準用する。
  2 民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の無効の確認を求めるものについては、第36条の規定を除き、無効等確認の訴えに関する規定を準用する。
  3 民衆訴訟又は機関訴訟で、前2項に規定する訴訟以外のものについては、第39条及び第40条第1項の規定を除き、当事者訴訟に関する規定を準用する。
   
第5章 補則  
第44条(仮処分の排除)
 
  行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第91号)に規定する仮処分をすることができない。
   
第45条 (処分の効力等を争点とする訴訟)
 
139号 争点訴訟は行政事件訴訟か? →  2条ではないが、45条により争点訴訟というのがある p126 
  1 私法上の法律関係に関する訴訟において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合には、第23条第1項及び第2項並びに第39条の規定を準用する。
  2 前項の規定により行政庁が訴訟に参加した場合には、民事訴訟法第45条第1項及び第2項の規定を準用する。ただし、攻撃又は防御の方法は、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無に関するものに限り、提出することができる。
  3 第1項の規定により行政庁が訴訟に参加した後において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無に関する争いがなくなつたときは、裁判所は、参加の決定を取り消すことができる。
  4 第1項の場合には、当該争点について第23条の2及び第24条の規定を、訴訟費用の裁判について第35条の規定を準用する。
   
   
第46条  
取消訴訟等の提起に関する事項の教示)
 
  1 行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分又は裁決をする場合には、当該処分又は裁決の相手方に対し、次に掲げる事項を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
  一 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者
  二 当該処分又は裁決に係る取消訴訟の出訴期間
  3 法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、その旨
  2 行政庁は、法律に処分についての審査請求に対する裁決に対してのみ取消訴訟を提起することができる旨の定めがある場合において、当該処分をするときは、当該処分の相手方に対し、法律にその定めがある旨を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
  3 行政庁は、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものを提起することができる処分又は裁決をする場合には、当該処分又は裁決の相手方に対し、次に掲げる事項を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
  一 当該訴訟の被告とすべき者
  二 当該訴訟の出訴期間